本校卒業後、米国大学に正規留学している大学生たちが定期的に現地の様子をレポートしてくれるので、廊下に掲示をしています。
今回は、日本でも連日報道されているアメリカ大統領選について、現地でしか知ることができない、アメリカ国民の生の声を聞きたい、ということで大学の教授や友達にインタビューをした様子をレポートしてくれました。
僕らが留学しているのは、アメリカ北西部のワシントン州です。大都市シアトルは、マイクロソフト、アマゾン、エクスペディアなどのテックカンパニーが本社を構えており、カリフォルニア州などと同じく、いわゆるリベラル派が多い地域です。4年前の大統領選でも民主党が圧勝していましたし、バイデン氏の選挙看板を多く見かけます。
アメリカ国内で過去にあったような世代間の分断とは違い、最近は地域（都市部と田舎）での分断が起きているとよく言われています。地域によって大事にしている価値観が異なるためです。
トランプ政権が生まれた直後には、地域の高校生たちが授業をボイコットしてまで抗議活動をしていたり、最近ではBLM運動でたくさんの生徒が行進していたり、若者たちは民主党支持者が圧倒的に多いと思っていたので、インタビューの結果、意外と私たちのクラスメイトである若者層にトランプ支持者が多かったことに驚きました。
インタビューから、何に価値を置くか は個々人の選択ですが、私たちにはその選択に伴う責任があることを学びました。大統領選はアメリカ国民にとって、ただの政治リーダー選びではなく、人生の価値観の選択の機会だと強く感じました。
民主党バイデン氏支持者の声
経済学教授
Q. 経済学的な視点から見たときに、トランプ氏とバイデン氏、どちらの 政策がアメリカの経済を良くすると予測されますか?
バイデン氏の方が大いに好ましいです。トランプ氏による中国との貿 易戦争によって経済は痛烈なダメージを受けました。法人税削減はアメリカ企業を本国に戻すことにおいて影響が小さく、逆に企業の自社株買いを促進させました。彼は医療保険、社会保障の危機を解決する手を何も打ちませんでした。代わってバイデン氏の政策は全体的に経済をやや成長させるでしょう。
大学国際課スタッフ
Q. どちらの候補者が選ばれると思いますか?
私はバイデン氏を大統領に選びます。私達は分断ではなく協力する必要 があります。科学に従いウイルスの治療法を見つけなければなりません
ホストファミリー
Q. トランプ氏の政策についてどう思いますか?
トランプ氏が掲げる”Make America Great Again”は、白人至上主 義が蔓延っていた 1960 年代のアメリカのことを指しているため、分断 の原因となってしまっていると思います。キリスト教の教えで、例えば同性婚や中絶の禁止を支持することは、 あくまで部分的なことでしかありません。本質である隣人愛を、社会保障といった現実的な形で実践していくことが大切です。彼の行いはキリスト教に沿っていないため、私は彼を同じキリスト教者とは思っていません。お互いに尊敬し合い、”Divided America”ではなく、”United America”であることが理想です。アメリカ・ファーストではなく、信仰が一番にあるべきです。もし明日に世界が終わることになっても、キリスト教者としてのアイデンティティは変わりません。
共和党トランプ大統領支持者の声
大学クラスメイト(男性)
Q. どちらの候補者を大統領に選びますか? あなたはその大統領から何を期待しますか?
僕が知る限りでは、彼はとても良い大統領で す。僕は彼にアメリカ国民への仕事の供給を期待します。アメリカ国民 にとってトランプ氏はバイデン氏よりも良いプランを持っています。彼 の保守派としての考えに賛成です。もちろん、常に彼の行動が好ましい わけではありませんが、そこは僕の判断するところではありません。
Q. キリスト教徒としてのトランプ氏をどう思いますか?
キリスト教徒であることについて判断することは非常に難しいです が、トランプ氏の考えには同意します。なぜなら共和党は聖書の教えを大切にするからです。もちろん完璧な人などいません。だからこそ物事 をよく見なくてはいけません。僕は共和党支持者でも民主党支持者でも ありません。キリスト教徒です。皆にとって良い方向へ、またキリスト教徒としての価値を壊さないよう国を導く人に、僕は投票したいです。どう国を導くかで対立は起っていますが、それでも私たちは愛し合うことができると、キリスト教徒として思っています。
大学クラスメイト(女性)
Q. 3 回討論会についてどう思いますか?
討論会の間、間違いなくトランプ氏のほうがバイデン氏よりもうまくやったと思います。
Q. どちらの候補者が大統領に選ばれると思いますか?
私はトランプ氏が勝つと信じています。もし彼が負けたら驚きます。 最近、人々を共和党に投票しないようにする出来事がたくさん起こっています。そしてアメリカ国内ではたくさんの問題を抱えているからです。
